UV(紫外線)硬化とは

UV硬化技術は瞬時硬化で、用いる材料が無溶剤で調製が可能という特徴があります。このため、生産性の向上、省スペース化、サスティナビリティ、環境対応といった時代のニーズに対応できる可能性を持ち合わせているため、印刷、塗装、接着などの分野で広く用いられています。

近年では、ディスプレイに用いられる光学機能フィルムや電子部品製造に用いられるフィルムの加工などのエレクトロニクス分野から医療分野、美容分野に至るまで、UV硬化技術によりもたらされる製品が身近なところに多く見受けられるようになっています。

このUV硬化技術を生産プロセスに導入する際、または初めてUV硬化プロセスの導入を検討されるお客様のために、このページでは、UV硬化の原理や特長についてご紹介します。

UV(紫外線)硬化の原理

UV(紫外線)硬化プロセス

UV硬化プロセスは「光重合」と呼ばれる化学反応です。紫外線エネルギーを用い、液体を固体に(モノマーをポリマーに)化学変化させる技術です。UV硬化材料は一般的に、モノマー、オリゴマー(プレポリマー)、光重合開始剤、その他の添加剤で構成されています。

UV(紫外線)を照射すると、光開始剤は励起され、開裂し、ラジカルまたは酸を発生します。発生したラジカルまたは酸により、モノマーが重合し、ポリマーに転換します。

UV硬化反応は、材料中に含まれる光重合開始剤がUVエネルギーを吸収し重合開始活性種を生成する光化学プロセスと、生成した開始活性種が重合を開始し、ポリマー生長が進行する中で架橋ネットワークを形成する熱的な重合プロセスとの2つのプロセスにより成り立っています。

紫外線の光によって数秒でUV硬化樹脂が硬化し、乾燥までの長い時間が不要なため、エネルギー消費を抑えられます。また、無溶剤化も可能なため、大気中への放出物も少なく、環境汚染物質の発生を抑えることができる優れた技術です。

UV硬化の特長

  • 高生産性:硬化時間はたったの0.1~数秒なため、生産プロセスにかかる時間を大幅に短縮することができます。
  • 低熱性:樹脂フィルムなど熱に弱い基材への照射が可能なため、変形や変質することなく硬化できます。
  • 品質の安定性:適切な光照度や波長の選択により、耐摩耗性、耐汚染性、耐候性、光沢度、密着性、柔軟性、形状など、良好な硬化物特性が得られます。
  • 作業効率の向上:光を瞬時にON/OFFできるため、熱硬化と比べ装置の立ち上げにかかる時間を短縮することができます。
  • 環境対応性:無溶剤で使用が可能なため、VOCやHAPなどの環境汚染物質の発生がなく、二酸化炭素の発生もありません。
  • 省エネルギー・省コスト:年間エネルギーコストは熱硬化に比べて極めて低く、無電極UVランプシステムは長寿命なためランニングコストも抑えることができます。
  • 省スペース:熱硬化で使われるような複雑で大型な設備を必要とせず、設置面積を大幅に縮小することができます。

UV硬化反応と熱硬化反応の違い

紫外線硬化と熱硬化の違い

UV硬化反応は、材料に含まれる光重合開始剤がUVを吸収し、反応活性種を生成することによって、重合反応および架橋反応がスタートします。そのため、UV硬化によって得られる硬化膜では、重合開始点を中心とした構造体が形成されます。重合の生長反応は、重合活性種の寿命(ミリ秒オーダー)内で進行し、短時間で反応が終了します。そのため、光重合開始剤を中心とした重合がスタートする領域では密となる構造をとり、重合の停止反応がおこる領域では疎となる構造をとるというように疎と密の部分が存在する比較的不均一な構造体が形成されます。構造体の密な領域では、非常に架橋密度を高くすることができ、硬度の発現に寄与しますので、硬度の高い硬化塗膜を得ることが可能です。

一方で、熱硬化反応は、物質を活性化状態にするのに必要な最低エネルギーである活性化エネルギーによって反応速度が支配されます。UV硬化反応に比べて、長い時間(分~時間オーダー)をかけてゆっくりと反応が進行するため、構造的に安定な状態を保持ながら反応が進行します。熱硬化では、高温下で反応が進行するため、反応後も構造体の熱的な構造緩和が進行し、比較的ひずみの少ないより均一性の高い構造体が形成されます。平均的な架橋密度は、UV硬化反応のそれとくらべて低くなり、硬化塗膜の硬度もUV硬化膜とくらべて低くなります。

UV(紫外線)硬化の用途

UV硬化技術を利用した革新的な要素技術が開発され、高付加価値を備えた応用製品が次々と生まれています。皆さまの身の回りにも数多く存在している携帯電話、各種ディスプレイ、自動車部品、フロアシートなど、その応用製品に限りはありません。。UV光は数々の品物の機能性を向上し、美しく、そして便利にしています。

  • 自動車関連
  • 機能性フィルム関連
  • 光ファイバー関連
  • ディスプレイ関連
  • 携帯電話関連
  • 印刷関連
  • 医療関連
  • パッケージ関連
  • 電子部品関連
  • 建装材関連
  • テキスタイル関連

 UV(紫外線)硬化の用途に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

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