水系塗工の乾燥:水性コートをより速く乾燥する赤外線技術

水性コートをより速く乾燥する赤外線技術

温風炉を使用し、塗料の種類を有機溶剤系から水性に変更する際、乾燥時間が今までよりもかなり長くなります。乾燥時間を短縮するためには、水性塗料の乾燥に特に適した赤外線ヒーターが必要になります。

業界全体では、VOC削減ガイドラインに沿って溶剤の排出量を削減することが非常に重要な目標となっています。それと同時に、コーティング分野においては、省エネルギーかつ時間短縮も要求されています。溶剤系塗料から粉体塗料への変更には新工場を必要とします。しかし、水系への変更はプラント技術の観点からすると、単純な変更で済みます。

水は溶剤よりも蒸発に時間がかなりかかるので、従来の熱風炉は適していません。例えば、スペースの制限などの理由から、乾燥時間を既存の所要時間の通りにしなければならない場合、炉の通過速度を減速し滞留時間を長くしなければなりません。これは、生産の障害につながりコーターが回避したいことです。この問題に対する現実的な解決策は、赤外線ヒーターシステムを用いた赤外線技術です。コンパクトな設計のために既存のシステムに容易に後付けすることが可能です。

大型部品用の赤外線乾燥炉 『赤外線ブースター』

水性塗料に変更する際、既存の乾燥炉の前に赤外線加熱ゾーンを追加することによって、生産量を維持または増加させることが可能であることが分かっています。赤外線からの光エネルギーには、塗料の水分蒸発に必要なエネルギーを簡単に与える事ができるため、赤外線炉は追加などの改造で、課題の多くを解決することができます。特に大型部品に赤外線乾燥を用いることで、従来の熱風炉と比較して、焼付温度に達するまでに最大50%もの時間を短縮することができます。

既存の乾燥機の前に取り付けられた赤外線乾燥ユニットを使用することによって、製品を正しい温度で十分に乾燥し、またこの温度を可能な限り長く保持することができます。赤外線炉を後付けすることによって、既存の熱風炉を「冷却」ゾーンとして使用できることも実際に示されています。水系塗料でコーティングしなければならない、例えばギアボックスのハウジングのような非常に大型な部品は、コンベヤーの端部で乾燥するだけでなく、乾燥直後、すぐに包装することができる程度まで冷却されます。

エネルギー消費を低減する中波長カーボンヒーター

エネルギー消費を低減する中波長カーボンヒーター

赤外線の波長は乾燥に大きな影響を与えます。中波長赤外線を照射すると、水分は急速に蒸発します。これは、中波長赤外線の波長が水分を非常に効率的に吸収し、直後に直接熱に変換されるためです。エクセリタスノーブルライトでは、中波長カーボン赤外線ヒーターも開発・製造しています。

中波長カーボンヒーターは、最大150 kW/m2の電力密度と応答時間が数秒という特長があります。中波長カーボンヒーターは、水性塗料の乾燥に非常に効果的な中波赤外線と高い電力密度があり、高効率な乾燥を実現します。

広範囲にわたる照射試験では、中波長カーボンヒーターが短波長赤外線ヒーターよりも、著しく効率的に水性ラッカーを乾燥させることを示しています。中波長カーボンヒーターは、同じ乾燥プロセスを実行するために、従来の短波長赤外線ヒーターよりも最大30%少ないエネルギーしか必要としません。

エアナイフ赤外線ユニットで乾燥時間を短縮

エアナイフ赤外線ユニットで乾燥時間を短縮

エアノズルとの組み合わせた赤外線ヒーターユニットは、水性塗料の乾燥にその優位性が確認されています。効果的な赤外線と集中的な空気の流れを組み合わせ構成されています。また、全乾燥ゾーンの急速な吸排気も可能です。

赤外線ヒーターユニットは、搬送方向に対して横方向に、搬送される製品の上に取り付けられ、その長さは製品の幅に合わせることができます。ユニットは、高効率が発揮できる構造になっています。また、高いエネルギー密度で塗料を急速加熱し、水分を蒸発させます。

赤外線と同時に、計算された速度で均一に分散されたエアが乾燥ゾーンに吹き込まれます。乾燥した空気は蒸発した水分を吸気し、それを照射ゾーンから排気ダクトに素早く運ばれます。排気ダクトは飽和空気を除去し、排気の量は供給空気の量より15%多いはずです。この空気交換により、乾燥時間が大幅に短縮され、熱エネルギーがより有効に利用されます。

乾いた空気は蒸気と湿気を吸収し、それらを赤外線ゾーンから除去します。乾燥ゾーンの直後に空気が排出されます。結果として、ユニットのバランスが維持され、そしていかなる溶媒も凝縮することができます。

このように、乾燥ゾーン内の大気飽和度が低減され、さらに蒸発が進みます。

エアナイフ赤外線ユニットは、塗料の吸収特性と乾燥プロセスに最適になるよう選定されます。その結果、短い乾燥ゾーンで効率の良いエネルギー消費を達成することができます。

表面品質を向上

コーティング乾燥において、赤外線からの輻射熱は、塗料のコーティングの内部にまで深く輻射エネルギーが浸透し、塗膜を内側から外側に乾燥させることを示しています。その結果、表面上の皮膚または水膨れが防止され、塗工乾燥が促進します。乾燥した表面品質は非常に優れています。